松井秀喜氏
「ヒトのチカラ アンバサダー」就任記念

松井秀喜×ヒトトヒト代表対談
「信頼関係がなにより重要」
アンバサダー就任の理由を語る

元プロ野球選手・松井秀喜氏のヒトトヒト「ヒトのチカラ アンバサダー」就任を記念して、松井秀喜氏と、ヒトトヒトホールディングス代表取締役・松本哲裕のスペシャル対談をお届けします。

実は、二人は高校時代、星稜高校野球部でのチームメイト同士。お互い全く違う道を歩んできた二人に、それぞれの視点で、ヒトのチカラについて語っていただきました。

PROFILE

松井 秀喜(まつい ひでき)

ヒトのチカラ アンバサダー

1974年、石川県生まれ。星稜高校から1992年ドラフト1位で読売ジャイアンツ入団。2003年にニューヨーク・ヤンキースへ移籍し、2009年にはワールドシリーズMVPを受賞。日米通算507本塁打を記録するなど、日米両球界の主軸として活躍。

PROFILE

松本 哲裕(まつもと てつひろ)

ヒトトヒトホールディングス 代表取締役

1974年、石川県生まれ。星稜高校、日本大学卒業。高校時代は松井秀喜氏とともに甲子園に出場。1998年、日本総業(現ヒトトヒト)入社。外資系不動産会社を経て2011年に復帰し、2019年より現職。

松本社長(以下、松本):しかし日差しが凄いね。大丈夫?

松井秀喜氏(以下、松井):うん、大丈夫。いやあ、やっぱり神宮球場は良いよね。プレーしていても、ドームと違って開放感があるし、ファンも近くに感じられる。昔から特別に好きな球場だったなー。芝生も綺麗だしね。

松本:弊社スタッフのグラウンドキーパーが丁寧な仕事をしてくれているんですよ。グラウンド整備だけじゃなくて、運営全般も担当させていただいています。

松井:先ほど、球場スタッフさんも何人か紹介してくださったけど、神宮球場の運営管理もヒトトヒトが行っているんだよね。そもそも、ヒトトヒトが今、どんな事業を展開しているのか、改めて聞いても良い?

松本:もちろんです。

ーーヒトトヒトが手掛ける
サービスとは

松本:当社はもともと、創業時に明治神宮野球場の興業で入場管理をしていました。そこから、グラウンド整備やバックスクリーンの操作などをやってきて、20年ぐらいかな。外部にもどんどんサービスを提供していこうと、事業を拡大していきまして。今では、ショッピングモールやオフィスビルの管理も手がけています。最近だと、人材派遣会社や、大阪万博関連の業務を手がけている関西の警備会社(エース警備保障)がホールディングスに仲間入りしたりもしていますね。端的に言えば、人材を活用してお客さまに価値を提供することを主軸とした会社です。

松井:さすが社長だね。凄い。

松本:ちょっと硬かったかな(笑)。

松井:いや、ヒトトヒトが僕が思っている以上に大きく成長していることがよくわかりました。でも、基本は「人の力」が主軸の事業なんだね。それが社名の由来ということ?

松本:そう。もともとは日本総業という名前だったの。“日本でなんでもやりますよ”という意味を込めて“日本総業”。それからいろいろと代替わりして、これから上場に向けて頑張っていこうと、社名も含めてしっかりとCI(コーポレート・アイデンティティ)に取り組もうと考えまして、いろいろ検討した結果、ヒトで成り立つ会社だということで、「ヒトトヒト」に社名変更した、そんな流れです。

松井:なるほど。ヒトで成り立つ会社だということで「ヒトトヒト」か。

松本:とはいえ、決してテクノロジーを否定しているわけではなくて、当社ではAIも活用しているんですよ。実はAIのプロダクトを、うちの会社も持ってます。ただ、AIをメインにしてビジネスを回していこう、というわけではなく、我々のところで働いてくれているスタッフの皆さんのために、AIを用いた学習機能や、AIを用いてナレッジを瞬時に引き出せる仕組みを構築しています。

松井:主役はヒトで、あくまでテクノロジーはツールなんだね。

松本:仰るとおりです。AIによってヒトの力を大きくしていく、効率化していく、という考え方です。たとえば、AIを活用することで、どんな人にも効率的にノウハウを引き継ぐことができるしね。

松井:確かに。これまで、特定の人の経験やカンに頼っていたスキルを、横にも縦にも共有していけるわけか。これまでだったら、誰かが辞めちゃうと引き継ぎも大変だものね。

松本:うん。我々はヒトのチカラを活かして社会に貢献していく。ただし、一人のチカラで何かができるわけではなく、チームプレーやチームワーク、そうしたチカラが求められる業態であると考えています。

松井:野球と一緒だ。

ーー「ヒトのチカラ アンバサダー」

松本:野球をずっとやってきた人はチームプレーをよく理解されていますよね。まさに、松井さんは、プロ野球、MLBで活躍され、現在は、多くの場面で若い世代を指導されている方でもあるので、そういう人にこそ、「ヒトのチカラの可能性」を広く発信していただきたい、そう思いまして今回、松井さんに「ヒトのチカラ アンバサダー」就任を依頼したわけです。

松井:ありがたい話ですね。改めて、ありがとうございます。

松本:松井さんのような方に、アンバサダーをしてもらえると、当社が大切にしているチームプレーのチカラを体現していただけるのではないかと考えました。ちなみに、なぜ「ヒトのチカラ アンバサダー」を受けてくれたの?今更だけど。

松井:今回のお話をお受けした理由は、率直に言って、松本さんが友人だからですよ。そこが一番。野球は個々の場面も、もちろんあるんですけど、最後はチームで勝つことを目指すスポーツじゃないですか。個人とチームのさまざまなバランスが求められるスポーツなので、そういう意味では、信頼関係がなにより重要です。松本さんとなら。何か通じるものがあるんじゃないか、お役にたてることもあるんじゃないか、そう感じました。

松本:ありがとう。「友人だから」というのも、まさにヒトのチカラなんだよね。会社を成長させたい、さらに高みを目指したい、そういうときにやっぱり広報活動は大事だと思って、イの一番に頭に浮かんだのが、松井さんでした。

松井:そういえば、ニューヨークまでわざわざ来てくれたよね。

松本:友人だからという甘えも若干ありつつ、「ニューヨークまで行けばさすがにノーとは言わないだろう」という計算もあって、直接交渉に出向きました。ちゃんと思いを伝えたら、快く引き受けてくれました。あれ、2年ぐらい前だよね。

松井:僕はただ、彼がニューヨークに来たい口実だったんじゃないかなって、今でもそう思っていますけど(笑)。

松本:いやいや(笑)。この手の話なので、日本に来られたタイミングでよろしくって言うよりは、ちゃんとこちらからお邪魔してお願いしたいと思ったわけですよ。

松井:相変わらず真面目だよね。そういう人なんですよ、松本さんは。石川の高校時代からの仲間だからね。

松本:そういえば、高校を卒業して、初めて東京に出てきて、右も左も分からない中で、神宮球場や東京ドームで、松井さんの鮮烈なホームランに観衆がどよめく様子を目の当たりにしたときは驚いたな。多くの人を魅了する、その中心に松井さんがいることに感動したことを思い出しました。単純に、凄いなと。高校野球とはまた違うでしょ。「友達がこんな凄いことになっている」って、他の友達ともずっと話していたんだよ。

松井:本当?でも一緒にいるときはまったく敬意が感じられなかったよ(笑)。

松本:プライベートだから(笑)。

松井:会うと昔に戻るんだよね。それもまた不思議だけど。

松本:でも、ちょっと生意気ですけど、その時、「彼を追い越すことはできなくても、いつか追いつけるぐらいの仕事がしたい」とは思いました。彼に勇気づけられたというか。そして今回、ご縁があって我々の会社のアンバサダーをしていただけることに、なんとも言えない気持ちになっています。

松井:この年で、またチームメイトになれるとは思わなかったよね(笑)。

松本:間違いない(笑)。

学生時代を思い出して、笑い合う2人

ーーいま「ヒトのチカラ」が求められる理由

松本:ところで、松井さんはニューヨーク・ヤンキースのGM(ゼネラルマネージャー)特別アドバイザーも務めていますよね。おそらくスポーツ全般でデータがすごく重要視されてきていて分析ありきの傾向があるけど、今のプロ野球界でも、データ偏重の流れになっているのかな?

松井:データも、もちろん大切。ただ、データだけを見ていても、それが良い結果につながるか、といったらそれはまた別の問題ですね。そこにプレーする人間の感性や考え方、思考が掛け合わされないと、いい結果にはつながらない。今の自分はこれだけ出せるっていうデータがあっても、それをプレーで実際に出せるのかどうか、というのは、結局、その選手の思考や感性になってくる。そういう意味では、逆にデータよりもその人の持つ能力がかけがえのないものになっていると思うよ。より重要になっているのかも。

松本:我々も企業だから、数値をしっかり求めて分析もするんですけど、最終的には現場で、お客さんに喜んでいただくことが大事なんだよね。決してAIや数値をないがしろにしているわけではないですけど、最後はヒトじゃないと果たせない価値があると思っている。

松井:野球も同じだね。人間には感情があるから。最後にいい形で終わりたい、気持ち良く終わりたいっていうね。それは野球選手にもお客さんにも働いている人たちにも、共通する部分だと思う。

松本:DX(デジタルトランスフォーメーション)や業務効率化には、もちろん全力で取り組んでいるけど、例えば、グラウンド整備やクレーム対応はAIじゃできないからね。我々が対応することが求められている。そのあたりはヒトでしかできない仕事かな、って思いますね。

松井:なにか、社員全体で共通しているノウハウのようなものはあるの?

松本:ノウハウ自体は多岐にわたるんだけど、重要なことは案外シンプルなんですよ。今日この瞬間にも当社のスタッフが何千人と動いていて、いろんな場面に遭遇している人たちがいるわけですが、一番大事なことは、そこで起きたことをできうる限り皆で共有しましょうっていうことなんだよね。良いことも、悪いことも、事象や事案を、ありのまま全社で共有して、次は起こさないようにしようとか、こういうことに気を付けていこうと、日々積み重ねることなんですよ。もちろん、個々の施設特性を覚えるとか、導線を確認するなどの事前準備はしたうえでなんだけど、それでも現場では予想外のことが起きるからね。

松井:なるほどね。

ーー松井秀喜氏が、かつて「ヒトのチカラ」を感じた瞬間

松本:ちなみに、松井さんは今までの野球人生の中で、ヒトのチカラって大事だなと感じたエピソードは何かありますか?

松井:野球はほぼヒトのチカラですよ。その中でもヒトのチカラを一番感じたのは、ファンの歓声や反応だよね。これはコンピューターじゃ絶対作り出せないものです。音だけだったら再現できると思うけど、実際の声援とは全然違うと思う。

松本:鳥肌が立つ喜び、みたいなね。

松井:そう。例えば、自分がホームランを打ってダイヤモンドを一周するとき、走りながらファンの反応や歓声を聞く。これは野球選手として、自分にとって一番の快感です。人間からの感情がバッと中にいる選手に伝わるんだよね。それはもう、ヒトのチカラとしか表現できない。

松本:いい話だね。松井さんは今、選手だけじゃなく、野球教室をして指導する立場だったり、ヤンキースGM特別アドバイザーだったり、いろいろな場面で活躍しているよね。指導する立場として心がけていることはある? 僕は若い頃、自分が部下の立場だったとき、理不尽とは言わないけど、いろんな思いがあったんだよね。でも今は立場が変わって、また違う景色が見えてきて、自分がその立場だったらどう思うんだろうって先に考えて話すことを心がけている。ただ、言わなきゃいけないこともあるから、それは自分が言うべきなのか、自分が言うべきじゃないとすれば、すぐ下のマネージャーに言ってもらうべきか、立場が変わってそういうことを考えるようになったんだけど、松井さんはどう?

松井:野球の場合は、自分が感じたことを伝えても、それがそのまま相手に響くとは限らない。それは僕も経験があるから。まずは、いかに相手の心を開かせて納得できる伝え方をするか、なおかつ、それをやってみようという意欲をわかせることが大事だと思うようになった。自分はこれでやってきたんだという選手は、その自分のやり方にプライドを持っているんだけど、相手は同じヒトではないからね。考え方を変えないとどこかで成長がストップしちゃうわけですよ。そこで、相手の心を開かせる伝え方をして、意欲を引き出すまでが、すごく長いプロセスなんだよね。

松本:わかります。よく会議でも『北風と太陽』の話をするんですよ。北風が冷たい風を無理やり吹いても旅人は服を脱がないよね、と。松井さんが言ってくれたように、自ら心を開いてくれる子は、いろんな指導や指示に対して的確に応えてくれる。でも腹に落ちないと動かない。『北風と太陽』の腹落ちみたいなのは大事にしないと、会社は回らないなって思いますね。

ーーヒトトヒト、これからの野望。やってみたいこと

松井:今後、「ヒトトヒトをこういう会社にしていきたい!」という野望はあるんですか?

松本:これはもうね、上場をスタートにして、これからいかにステークホルダーの皆様の期待に応えていくのか、社会の期待に応えていくのかということに尽きます。

松井:上場するということは、よりオープンな会社になる。みんなの会社になる、ってことだもんね。

松本:そして最後は、ヒトのチカラしかないと思うんですよ。今でも社会で人手を必要としているところは、たくさんあると思うんです。我々はスポーツ業界から始まりましたけど、いまは建設業界・ビルメンテナンスにも拡大していて、さらにはエンターテインメント業界や公共イベントにも事業展開しています。人手が足りていないところは、全部ヒトトヒトのチカラでサービスを届けていく、そんな意気込みで走っていくつもりです。上場はあくまでもスタートでしかないので、もっともっと成長できるように励みますよ。

松井:僕も「ヒトのチカラ アンバサダー」として、全力で頑張りますよ。

松本:頼もしい限りです。松井さんのアンバサダー就任は、社外はもちろんとして、社内の意識アップも期待しているんです。会社が成長するということは、従業員も成長することだと思いますから。松井さんは様々なことを成し遂げた人だと誰もが認めている存在なので、多くを語らなくても、松井さんの存在だけでうちの社員たちが頑張れるみたいな、そんな存在になれると思いますね。

松井:これは責任重大だ(笑)。今は基本的にアメリカにいる時間が長いのですが、日本に来たときには必ず野球教室をやっています。それこそヒトトヒトさんのお世話になっていて、スタッフさんがたくさん来てくださるんですよ。自分が次の世代の小さなお子さんたちと接している姿や、野球を教えている姿を見て、ヒトトヒトのスタッフの方が何かいいエネルギーを感じてくれたら嬉しく思います。これは僕自身とヒトトヒトさんの共同作業の一部でもあるので、ウィンウィンの関係でこれからも続けていきたいなと思っています。

松本:改めて、こんなに二人きりで仕事について語ったのは今回、初めてかもね。

松井:ビジネスを拡大していきつつ、そこにいる人たちに喜んでもらえることを第一にやっている松本さんは、友人ながら凄いな、と思いましたね。褒めるのは嫌だけどね(笑)。

松本:僕も褒められると変な感じですね(笑)。

松井:でも、本当に素晴らしい、と思いますよ。

松本:非日常の中で、お客さまに一日楽しかったなって気持ち良く帰っていただくための方策を提供する。これって本当にずっと創業から変わらないことで、専門知識を吸収するとか、施設の特性を勉強するとかは当たり前なんですけど、やっぱりお客さまに喜んでいただけることが、一番大きいところかなと思います。

松井:時代が変わっても、そこだけは変わらないね。

松本:今日はいろいろな話を聞けて、ものすごく刺激になりました。これを見る社員たちに
とっても励みになると思います。僕らもこれから頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします!

松井:こちらこそ。ありがとうございました!